<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" ?>
<rss version="2.0" xmlns:blogChannel="http://backend.userland.com/blogChannelModule" >
  <channel>
  <title>Wani’s Crew Blog</title>
  <link>https://waniscrew.kyotolog.net/</link>
  <atom10:link xmlns:atom10="http://www.w3.org/2005/Atom" rel="self" type="application/rss+xml" href="https://waniscrew.kyotolog.net/RSS/" />
  <description>キャプテン翼二次創作ファンサイト　CAPTAIN TSUBASA FANFIC WEBSITE </description>
  <lastBuildDate>Mon, 16 Sep 2024 03:12:56 GMT</lastBuildDate>
  <language>ja</language>
  <copyright>© Ninja Tools Inc.</copyright>
  <atom10:link xmlns:atom10="http://www.w3.org/2005/Atom" rel="hub" href="http://pubsubhubbub.appspot.com/" />

    <item>
    <title>めぐりめぐって</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
<br />
　夕方の見知らぬ住宅街を、小学生の彼はぶらぶらと歩いていた。<br />
　酒屋のおじさんのいつものアシスタント役をするために、軽トラに同乗して今日はちょっと遠出してきたのだ。<br />
　荷受けの商談があるからそこらで時間をつぶしていろと缶コーラを渡されたのだが、このあたりは新しい住宅が多く、人通りはあまりない。どこかで犬の吠え声が響いていた。<br />
　その時背後でいきなりクラクションが聞こえた。<br />
　どきっと振り返ると、向こうから乗用車が突進してくる。その前に小さな人影が見えて彼は反射的にダッシュした。<br />
　間に合え！　今度こそ！<br />
　父親を奪った事故。学校にその報せが届いた時、彼は立ち尽くすことしかできなかった。残酷な現実をただ突きつけられた。取り返すことも動かすこともできないまま。<br />
　だが今は違う。<br />
　焦燥感の中、できる限りに手を伸ばす。<br />
　ドンという音が響いてその瞬間、指の先がその感触を捉えた。<br />
　かすめて空を切り、しまったと思ったのと同時にわずかに引き寄せた感覚。<br />
「子供だ！」<br />
　バンパーに弾かれた丸い形ががちょうど彼の目の高さに跳ね上がった。それを横っ飛びにさらい、子供の体がちょうど収まるように彼の腕に飛び込む。<br />
　ぶつかった衝撃がわずかでも抑えられたことで、道路に投げ出されるスピードも落ちたのだろう。抱えた子供は彼の両腕の中で守られた。彼自身も交差点脇の生垣に突っ込むことで痛みは薄れた。<br />
　同時に女性の叫び声。数人の足音がばらばらと集まる。彼は急いで抱えた子供を覗き込んだ。<br />
「大丈夫か！？」<br />
　その子は自分と同じくらいの大きさのサッカーボールにしがみついていた。何が起きたのかさえわからずに目を丸くしている。が、彼と目が合った途端唐突に笑い声を上げた。<br />
「笑いごとか？」<br />
　ぼやいても通じるわけもない。少なくとも痛くもなくすんだのだと、一気に緊張は解けた。<br />
　そっと路上に立たせると駆け寄ってきた大人たちがわっと囲む。<br />
「おーい」<br />
　離れたところから声がした。なじみのだみ声で。<br />
「どこ行ったー！　もう出るぞ」<br />
「おっと」<br />
　酒屋のおじさんの呼び声に振り返る。すぐに行かないと。<br />
　数歩行きかけて振り返ると、親らしい女性がすごい勢いで子供を抱きしめているところだった。<br />
「ったく、子供から目を離すんじゃねえぜ。あんなヨチヨチの子を」<br />
　彼自身幼い弟達を面倒見てきたのだ。当然批判めいた声になる。<br />
「コーラは飲んだのか？」<br />
「あ、置いてきちまった」<br />
　というか子供を助けに走った時に飲みさしを投げ出したのだが。おじさんは顛末を聞いて笑った。<br />
「そりゃ残念だったな。冷えたやつを買い直そう。俺も飲みたいから」<br />
　おじさんはほめる言葉は一切出さなかった。頭に黙って手を乗せてうなづいただけだった。<br />
　ほめる役目は自分ではないと。<br />
　今度こそ間に合った。手が届いたのだ。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「起きたら？」<br />
　半分苦笑した顔が覗きこんでいた。<br />
「寝落ちしちゃったんだ。中継終わったよ、日向くん」<br />
「&hellip;ああ」<br />
　まだ目覚めかけの日向は、ソファーの上で半分斜めになったままだ。間抜けな返事になっていることにも気づいていない。翼は正面に立っておかしそうに笑った。<br />
「なに見てるの？」<br />
「その古傷&hellip;」<br />
　ぼーっとした視線が一点に止まっていた。<br />
「なんなんだ？」<br />
「あ、見えた？」<br />
　翼はちょっと恥ずかしそうに前髪をいじった。<br />
「俺、小さい時クルマにぶつかったことがあってさ」<br />
　隣に歩み寄った若島津に場所を譲りながら、翼は屈託なく説明した。<br />
「俺は何も覚えてないんだけど、親が言うには持ってたサッカーボールがうまく盾になって、まったくケガもしなかったんだって」<br />
「してるじゃないか」<br />
　動こうとしない日向の襟首をつかんでまっすぐに引っぱり上げながら、回収係の若島津はちらりとこちらを見た。<br />
「その時病院でさんざん検査したみたいだけど、確かに傷はなかったらしいよ」<br />
「て、ことは」<br />
　いきなり日向がつぶやいたので会話が途切れる。<br />
「後になってケガがわかったのか」<br />
「はい？」<br />
　いぶかしむ若島津の手を払いのけて、日向はまっすぐに伸び上がった。翼が抵抗する間も与えず、ぺろりと傷跡をなめる。<br />
「何やってんですか」<br />
「そんな傷、なめときゃいいんだ」<br />
「古傷ですよ？」<br />
　さっきまでぐずぐずと転がっていたのが嘘のように、ソファーの上で一っ跳びして駆けて行ってしまう。<br />
　とーちゃん、間に合ったよ。<br />
　後に残されたのは、路上の飲みかけコーラ。<br />
<br />
<br />
<br />
end]]>
    </description>
    <category>お礼ＳＳ</category>
    <link>https://waniscrew.kyotolog.net/%E3%81%8A%E7%A4%BC%EF%BC%B3%EF%BC%B3/%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8A%E3%82%81%E3%81%90%E3%81%A3%E3%81%A6</link>
    <pubDate>Mon, 16 Sep 2024 03:12:56 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">waniscrew.kyotolog.net://entry/135</guid>
  </item>
    <item>
    <title>不思議</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
<br />
<br />
「さわんなって！」<br />
「おい、哲兵」<br />
　井沢が咎める声を出したが、その前に振り払った手からドリンクのボトルが弾け飛んで地面に転がった。<br />
「え、えーと」<br />
　差し入れのドリンクを南葛組に順に配っていただけだった高杉が棒立ちになる。<br />
「オレに話しかけんな！　おまえはぜってー許さないからな」<br />
「真吾が何したっていうんだ。午前中は練習は別だったし、話もしてないだろ」<br />
　午後からの全体練習の前に集まっていた数人で顔を見合わせる。森崎などは輪から離れた場所で顔を青くしていた。<br />
「どうしたんだ、大きな声を出して」<br />
　そこへ別のほうから声が近づいた。<br />
「何かトラブルかい？」<br />
「あ、三杉さん」<br />
　新田が振り返る。来生は一瞬ぎょっとした顔になったが、近づいてきた三杉に鋭い目を向けて睨み返した。<br />
「三杉、おまえも許さねえ。口出しすんな！」<br />
「え、何だって？」<br />
　こちらはまったく心当たりさえない。朝から今まで、接点があっただろうか。<br />
　が、そう問い返すより先に来生は三杉の肩を押しやって走っていってしまった。<br />
　仲間内だけならともかく、ここにいたって井沢はあたふたするばかりだった。突き飛ばされた三杉を横から支えて申し訳なさそうにする。<br />
　が、反対側に立っていた滝は、そこで何かに気づいたようだった。<br />
「待てよ、哲兵」<br />
「うるさい！」<br />
　ピッチの脇で足を止め、来生は両手のこぶしをプルプルさせ始めた。<br />
「真吾も三杉もそりゃいいよな。けどオレはどうなるんだ、チクショウ」」<br />
「しかたないだろ、こいつらには漢字があるんだから」<br />
　滝が声を上げた。他の仲間がぽかんとする。<br />
「なるほど」<br />
　数秒を置いて三杉がうつむいて小さくため息をついた。<br />
「そういうことか。だが僕にはどうにもできないね」<br />
「そりゃそうだな」<br />
　滝があいまいに苦笑した。そしてボトルを拾い上げた高杉にも同情の目を向ける。<br />
「なあ、哲兵、それは八つ当たりってもんだぜ」<br />
「&hellip;&hellip;」<br />
　来生は黙った。そしてくるりと向き直る。<br />
「じゃ、じゃあせめて誰か教えてくれよ！　オレのスはどこ行ったんだ！」<br />
「はあ。知らないって、そんなの」<br />
　滝は目を逸らして頼りなげに首を振った。同情したくても呆れが先に出る。<br />
「たぶん、監督が知ってるんじゃないかな。でなけりゃ若林さんか」<br />
「適当言うな！」<br />
　半分涙声で叫ぶと、来生は今度こそ全力で走り去った。<br />
　全員が脱力しつつのろのろと移動し始める。<br />
　ちゃんとした訓読みの杉（すぎ）のある二人に対して、来生は自分の苗字の読みに行き場のない疑問を抱き続けていた。<br />
　「き」はわかる。「ぎ」もいいだろう。だが「す」の行方は？<br />
　三杉は今度は深いため息をついた。アドバイスはサッカー限定にしてもらいたい。多少の日常のメンタルケアならつきあってもいいが、こんな問題はどうすればいいのやら。<br />
　滝が複雑な表情で、その肩をトントンとたたいた。<br />
<br />
<br />
end]]>
    </description>
    <category>お礼ＳＳ</category>
    <link>https://waniscrew.kyotolog.net/%E3%81%8A%E7%A4%BC%EF%BC%B3%EF%BC%B3/%E4%B8%8D%E6%80%9D%E8%AD%B0</link>
    <pubDate>Tue, 06 Aug 2024 16:52:53 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">waniscrew.kyotolog.net://entry/133</guid>
  </item>
    <item>
    <title>ときめきpart1</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
「あれ？　若島津」<br />
　スターティングメンバーが入場した後ベンチに向かいかけた選手達のひとり、森崎がきょろきょろした。<br />
「さっきまでここにいたよな」<br />
　スタッフ数人はちらほらいたが、一緒にいたはずの若島津の姿がない。<br />
　と、通路わきの曲がり角のかげからその若島津が歩いてきた。グラウンドコートのフードをすっぽりかぶった姿が怪しい。待っている森崎に気づいてやや早足になる。<br />
「トイレ？」<br />
　追いついたところで並んだ若島津はいつもと変わらず無表情だ。<br />
「いや、審判と世間話をちょっとな」<br />
「世間話って&hellip;」<br />
　主審以下４名はさっきの列の先頭に並んでいたはずだ。一体いつの間に。<br />
「ミーティングのあとに監督が耳打ちしたからその準備だ」<br />
「えっ」<br />
　森崎は愕然とした。<br />
「ま、まさか交代がある？」<br />
「楽しみにしてろ」<br />
　なぜか声をひそめる森崎には構わずベンチに向かう。<br />
　若島津の交代。それが意味するものを思って森崎は震えた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
　スコアは１－１。後半も１５分になって若島津はハーフウェイラインの前に立った。第４の審判が電光掲示のボードを高く掲げる。１７番の番号が青く光った。<br />
　青いユニフォームの背中にはKENの文字。長い髪をポニーテールにして幅広のヘアバンド。スタジアムがふーっともおーっともつかない声で満ちる。<br />
「だから、俺を偽装に使って遊ぶなって」<br />
　その少し前のこと、森崎は不満いっぱいに若島津に苦情を言った。ベンチでは森崎と並んで席に沈み込み、ウォーミングアップも２人で組んで軽いランニングだった彼はここまであくまで目立つ行動は見せなかった。さっきコートを脱いだその瞬間まで。<br />
　お約束と言えばお約束。<br />
「だ、誰だ！」<br />
「あれが幻の&hellip;」<br />
　まあめったに出て来ないという意味では幻だが。<br />
　スタジアムのサポーター達はわざとらしくざわめいている。めったに見られない代物が目撃できたという点では騒いでしかるべきかもしれない。<br />
「いらない演出はすんな！」<br />
　にやりとしただけでトップ下の位置に入る。<br />
「悪目立ちするなって言っただろ！」<br />
　向こう側のサイドライン近くでさっきからじたばたと抵抗しているのは日向だ。<br />
　いつかの国際マッチ以来の登場に空気だけは盛り上がる。サポーターもそこは心得て棒読みの声援に徹していた。<br />
　爆速の空手ストライカーが髪をなびかせてファイナルサードをかき乱す。<br />
　最近のルールとしてすべてのアクセサリーが禁止されてからは、ヘアバンドについても審判の承認が必要とされているが、それを試合前に確認するのをルーティンにしてどうする。<br />
　ゴール寸前に飛び込んだところでディフェンス数人が吹っ飛び、その余波で引き倒されたのをまんまとPK獲得に繋げる。そのキッカーは日向だったが。<br />
「こういう引いて守るチームには毎回苦戦するよね」<br />
　さらにそれにラフプレーで抵抗しがちな相手だと。<br />
　ため息の岬のとなりで翼が両腕を突き上げて歓喜している。<br />
「わあい、なでしこだー！」<br />
　翼、それは当人には言ってはいけない。せめてニンジャと。<br />
　「どんなサービス精神だ」<br />
　若島津の兼用コンバートに文句を言う気はないが、こういう付き合い方だけはせめて避けたい森崎だった。<br />
<br />
<br />
end]]>
    </description>
    <category>お礼ＳＳ</category>
    <link>https://waniscrew.kyotolog.net/%E3%81%8A%E7%A4%BC%EF%BC%B3%EF%BC%B3/%E3%81%A8%E3%81%8D%E3%82%81%E3%81%8Dpart1</link>
    <pubDate>Tue, 09 Apr 2024 09:56:03 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">waniscrew.kyotolog.net://entry/131</guid>
  </item>
    <item>
    <title>快速</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
<br />
<br />
「おう、居残りか？」<br />
「おまえらこそ何だ。そんなとこで」<br />
　いきなり呼びかけられて、日向は声の方向に目を向けた。そこには木の枝を数本抱えてこちらを愉快そうに見ている石崎と高杉がいた。練習用ユニフォームのままで。<br />
「ちょっとな、グラウンドキーパーさんに声かけられてよ。手伝ってたんだ」<br />
　なんでもピッチ脇の木の枝が折れかけていて危険だからと今手を借りに走っているそうだ。<br />
「しかしおまえでも居残りするんだな」<br />
　ボールを脇に抱えている日向を見て、石崎は屈託なく言った。高杉のほうはその遠慮のなさにおろおろしている。<br />
「そりゃどういう意味だ」<br />
「いや、あんなシュートを打つ奴でも試合前日に律儀に練習すんだなって。今さらってーか」<br />
「やりたいからやってるだけで義理でもねえがな」<br />
　日向は足を止めた。<br />
「俺なんてここ１年以上得点なしだからなあ」<br />
「何だ、ディフェンスだからって遠慮せずに点狙っていいんだぞ」<br />
　日向は特に気を悪くすることもなく振り返る。<br />
　石崎は頭を掻いた。<br />
「そうは言っても日向とじゃ次元が違いすぎてよお」<br />
　彼ら以外誰もいない無人のゴール。持っていたボールをこちらへ投げる。蹴ってみろという意味らしい。<br />
　少しためらいつつ狙ったシュートは、一応ワクには飛んだが。<br />
「もっと体重かけて振り抜くんだな。あと最後の踏み込みはもっと大きく」<br />
　石崎は目を丸くした。まさかアドバイスをもらえるとは。<br />
「これでダメならガオーとでも叫べ」<br />
「おい」<br />
　ラインのこちらで高杉がよろりと。<br />
　たった１本のシュートにつきあっただけで今度こそ立ち去っていく。ただ見送るだけの石崎だった。<br />
<br />
<br />
<br />
　さて翌日の国際マッチ。<br />
　２点をリードした後半ももう終盤。<br />
　ボールは中盤ゾーンで奪い合いになっていた。<br />
「あっ、まずい」<br />
　混戦からこぼれたボールがライン方向に転がった。スタジアムがどっと沸く。<br />
「石崎くん！」<br />
　ちょうど走りこんでいたところにこぼれたものだから、石崎本人もびっくりしたようにゴール方向に顔を上げた。<br />
　向こうで翼の声が弾ける。<br />
「すごいっ！」<br />
「ありゃ&hellip;？」<br />
　ネットを突き破ったボールがゴール裏に達して止まる。<br />
　シュートした本人がぽかんとした。<br />
　相手キーパーがすぐにボールを拾いに走った。ネットはサイドネット。もちろんゴールにはならない。<br />
　フィードされたボールを反転して追いかけながら、翼は石崎の肩に飛びついて笑顔になった。<br />
「惜しかったねえ！　びっくりだよ！」<br />
「ま、まあな」<br />
　石崎は首をすくめた。追い越しながら仲間が背中をたたいていく。まるで得点したかのような騒ぎである。<br />
「なんだ、あの威力」<br />
「マグレやろ」<br />
「だとしても信じられねえ」<br />
　いささか手荒な扱いを受けながら、ちらちら目で探した相手は反対のサイドにいた。目が合うとニヤリと小さく親指を立てる。そして口が動いた。<br />
「ガオー」<br />
　それに合わせてもう一度小さく口の中でつぶやく。<br />
「え、何？」<br />
　翼が振り返ったが、石崎はいや何でもと言いながら足元の芝に目を落とした。高杉が呆れた目を向けているのには気づいていない。<br />
「なんだか不穏な波動を感じるんだが」<br />
「奇遇だね。ボクもだよ」<br />
　微妙な距離をとりながらそんな会話があったようななかったような。<br />
「どうせロクなことじゃないよ。忘れよう」<br />
　タイムアップの笛はもうまもなくだった。<br />
<br />
<br />
end]]>
    </description>
    <category>お礼ＳＳ</category>
    <link>https://waniscrew.kyotolog.net/%E3%81%8A%E7%A4%BC%EF%BC%B3%EF%BC%B3/%E5%BF%AB%E9%80%9F</link>
    <pubDate>Thu, 22 Feb 2024 05:34:34 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">waniscrew.kyotolog.net://entry/128</guid>
  </item>
    <item>
    <title>紫の夜を越えて</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
<br />
　スパイクをはいた足音が近づいて頭の脇で止まった。<br />
「おい」<br />
　しばらくの間をおいてじれたような低い声。<br />
　すぐに返事があった。<br />
「眠ってないよ」<br />
「わかってる。もう灯を落とすらしいぞ」<br />
　だからいい加減に引き上げろと。<br />
　しかし返ってきたのは沈黙だった。<br />
　ざくっと乱暴に一歩が踏み出される。<br />
　瞬時に目が開いた。<br />
「踏まないで」<br />
「フン、踏まねえよ。蹴っ飛ばしてやる」<br />
「そっちのほうがひどいよ。君のキック力なら」<br />
「いいから起きろって。こうしてたってこの気分が風で吹き飛ばされてったりはしねえんだから」<br />
「じゃあやっぱり蹴っ飛ばしてもらおうかな」<br />
　小さなつぶやき。それから反動をつけて身を起こした。<br />
　思い切り遠くまで、と続きかけた言葉は途中で消える。<br />
　ピッチの向こう。見えない暗がりのもっと向こうを見つめる目。　<br />
　あの時あと一歩が出ていれば。<br />
　飛び込むタイミングがもう１秒早ければ。<br />
　キリのない選択肢の残骸が心の中に蓄積されていく。後悔という残骸が。<br />
「&hellip;&hellip;聞こえる。次のキックオフの笛しか俺を次に進めてくれない」<br />
「おまえだけじゃないさ」<br />
　人は喜びの瞬間だけでは動けない。悔しさが人を動かすこともある。<br />
　アディショナルタイムの最後の一瞬にゴールに吸い込まれていったボール。<br />
　グループリーグの一戦は次の瞬間に響いたホイッスルによって勝ち点３から１へと変わって終わった。残るは１試合。同時刻キックオフの２試合はその結果で勝ち抜けを決する。<br />
「順位はどうだっていいんだ。俺が、俺自身が自分の本気を納得できるかどうかだけ&hellip;」<br />
「全部勝たないと納得しねえんだろ」<br />
　決戦の後の芝にゆっくりと立ち上がる。<br />
　もう一度ピッチの奥を見渡して沈黙。それから振り返って厳しい表情を見せる。<br />
「勝とう」<br />
　シンプルな一言。<br />
　目が合う。２本の手が顔に伸ばされていきなり頬を右と左に乱暴に引っ張った。<br />
「い、いたたた」<br />
「今さらだ」<br />
　おまえは笑ってろ。<br />
　言わずもがなだった。<br />
<br />
<br />
<br />
end]]>
    </description>
    <category>お礼ＳＳ</category>
    <link>https://waniscrew.kyotolog.net/%E3%81%8A%E7%A4%BC%EF%BC%B3%EF%BC%B3/20231022</link>
    <pubDate>Sun, 22 Oct 2023 13:40:18 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">waniscrew.kyotolog.net://entry/124</guid>
  </item>
    <item>
    <title>虎々しい</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
<br />
<br />
「ひゅ、日向さん！」<br />
　ピッチから通路に下りたところで背後からタケシの悲鳴のような声がした。<br />
「右足が&hellip;！」<br />
「あ？」<br />
　立ち止まって背後に視線を向けると、右足のふくらはぎより下のあたりのストッキングが鮮血に染まっていた。みるみるそれが広がって右足下部全体に赤くしたたっている。<br />
「すぐ治療を！」<br />
「ああ、まあな」<br />
　代表の白いストッキングが裂けて傷口が見えていた。前半終了直前のゴール前の混戦でレイトタックルを受けていたのか。<br />
「気づかなかったんですか！　痛かったでしょ」<br />
　いち早く医療スタッフを引っぱってきて反町も叫ぶ。<br />
「覚えがないな。プレイ中だったしな」<br />
「ん、もう！」<br />
　後から来た来生らがうわあと跳び退くくらいだった。<br />
「あんたのアドレナリンは仕事しすぎです」<br />
　いつ追いついたのか若島津が眉を寄せて立っていた。<br />
「早く止血してもらいなさい。ピッチに出られませんよ。それとも代えてもらいます？」<br />
「へっ、バカ言ってんじゃねえ」<br />
　メディカルルームへと肩を貸そうとしたスタッフを置き去りにして、日向はのしのしと姿を消した。ビブス姿の反町は肩を落として大げさにため息をつく。<br />
「今さらだけどさ、あれにどう口出しできるっての。虎々しいったら」<br />
　口の中でつぶやいてロッカールームの自分の席にもたれ込んだのだった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「&hellip;ふう」<br />
　重いため息が出た。そばに人影が立つ。<br />
「ご苦労さま」<br />
　前半は出番のなかった三杉だった。<br />
「いい狙いだったね。味方さえ欺きそうになってた。&hellip;一人を除いて」<br />
　おとりのスペースを作って翼が一気にゴール前の位置に切り込むはずだった。そのために引きつける動きとして右サイドに飛び出した岬だったのだが。<br />
「ほんとに小次郎ってば！」<br />
　つい声が鋭くなる。声量は押さえたものの。三杉が一瞬だけ目を細める。<br />
「まあいいじゃないか。あれで先制につながったんだ」<br />
「翼くんのゴールになるはずだったのに」<br />
「誰が得点してもうちの点なのは同じだが」<br />
　ちらりと背後に視線を投げる。<br />
「空気を読まない&hellip;というか読む気がないというか」<br />
　隠してはいるが悔しそうな響きはある。手当てを終えた日向が姿を見せたところだった。<br />
　岬はそちらへは顔を向けずに遂にがっくりと肩を落とした。<br />
「ほんとに&hellip;虎々しいんだから」<br />
　言うだけ無駄なことはわかっていただけに。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「ねえ、虎って虹彩が変えられるんだよね」<br />
「らしいな。よく知らねえが」<br />
　別に虎を名乗っていても虎の専門家ではない。当然ながら。<br />
「虹彩の形はもちろん、色も変えられるんだって」<br />
「妙なことに詳しいんだな」<br />
　囁きながらの会話は単に距離が近いせいだった。周囲には物音すらなく、誰に聞かれる心配もないのだが。勝利の余韻だけが漂う時間だった。<br />
「当人より詳しいかも」<br />
　クスクス笑いが耳元をくすぐる。<br />
「あの縞模様ってさ、皮膚ごとシマシマらしいよ」<br />
「&hellip;&hellip;俺はニンゲンだ」<br />
「ほんとかなー」<br />
　わざとからかってみせる。<br />
「試してみようかな」<br />
　体温を全身に実感しながら、冗談めかした抱擁がそこで止まった。しがみついた腕にわずかな緊張がある。<br />
　声が揺れたのは小さな怒りのせいだった。<br />
「虎は虎がしみついてる。それは確かだけど」<br />
　縞模様のように。<br />
「自分を大事にして。ケガさせられるなんて&hellip;やめよう、なるべく」<br />
　少しだけ、沈黙があった。そして苦笑。<br />
「ああ、もう痛みはないから問題ねえよ。なんならふさがってきてる」<br />
「もう！　そんなバケモンみたいなこと！」<br />
「おまえが言うか」<br />
　外は雨になったようだった。試合が終わった以上影響はない。<br />
　ただ虎々しい時間がここに。<br />
<br />
<br />
&nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; end<br />
」]]>
    </description>
    <category>その他ＳＳ</category>
    <link>https://waniscrew.kyotolog.net/%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%EF%BC%B3%EF%BC%B3/%E3%81%A8%E3%82%89%E3%81%A8%E3%82%89%E3%81%97%E3%81%84</link>
    <pubDate>Sun, 08 Oct 2023 02:11:51 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">waniscrew.kyotolog.net://entry/123</guid>
  </item>
    <item>
    <title>もくじ</title>
    <description>
    <![CDATA[■お礼ＳＳ■<br />
<br />
群青<br />
日なたの窓にあこがれて<br />
空も飛べるはず<br />
オパビニア<br />
雪風<br />
エスペランサ<br />
転生しなくても白くまだった。<br />
ありがとさん<br />
桃<br />
ただ春を待つ<br />
ルキンフォー<br />
遠吠えシャッフル<br />
死神の岬へ<br />
ルキンフォー２<br />
初夏の日<br />
ハヤテ<br />
探検隊<br />
見っけ<br />
スピカ<br />
インディゴ地平線<br />
みなと<br />
点と点<br />
冷たい頬<br />
猫ちぐら<br />
どんどどん<br />
たまご<br />
ハートがかえらない<br />
甘ったれクリーチャー<br />
ルナルナ<br />
ナサケモノ<br />
<br />
<br />
■その他ＳＳ■<br />
<br />
松ヶ音<br />
ＡＮＩＭＡＬ　ＭＡＧＩＣ<br />
ＴＯＨＯびより１～６<br />
むかしむかし<br />
北海の白鳥<br />
ジャガーチェンジ（豹変）<br />
シナリオチャレンジ森崎＆ジノ<br />
日向家の秘密<br />
実録・決戦「南葛ＶＳ東邦」<br />
猛虎はもう来ない<br />
ハンブルク純情派<br />
窓<br />
答えは出ていた。<br />
ぶんしょうもんだい<br />
王様ゲーム<br />
ゴールエリアの長い夜<br />
武蔵の乱　～最強のひと～<br />
桜の記憶に<br />
]]>
    </description>
    <category>お知らせ</category>
    <link>https://waniscrew.kyotolog.net/%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B/%E3%82%82%E3%81%8F%E3%81%98</link>
    <pubDate>Fri, 04 Aug 2023 17:56:06 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">waniscrew.kyotolog.net://entry/122</guid>
  </item>
    <item>
    <title>ナサケモノ</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
<br />
<br />
　石崎は棒立ちになった。完全に固まる。<br />
「おい、エイプリルフールはとっくに済んでんぞ！」<br />
　笑いに持って行こうとしたが語尾はおぼつかない。足元も震えている。<br />
<br />
<br />
<br />
「なんで俺に海外のクラブから移籍の話が来るんだーー！」<br />
　自他共に認めるポンコツ。<br />
　そのはずだった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ナサケモノ<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「うん、俺が話したんだ」<br />
　隠し立てすることもなく翼は明かした。国際電話の電話口で。<br />
「でも、移籍の話はその前からあったから俺のせいじゃないよ。どんな選手だって聞かれて説明しただけ」<br />
「&hellip;」<br />
　そう聞かされた修哲組は頭を抱えた。<br />
「またあの過大評価か」<br />
「むしろ詐欺トークに近いんじゃ&hellip;」<br />
　滝がもごもごと言う。<br />
　この世界中でただ一人石崎を厚遇する男、大空翼。その頑ななまでの身内びいきは、かの岬相手への信頼度にさえ匹敵するというから恐ろしい。<br />
「まああれは技能を評価するというより、人格に依存しているところがあるからね」<br />
　その当の岬は少し後になって彼らの動揺っぷりにコメントした。<br />
「いやそこまではっきり言わなくても」<br />
　彼らが所属していた南葛高ではキャプテンだった彼だ。<br />
「誰一人共感する仲間がいなかった中で、一番に親しくなれた相手だったしね」<br />
「だとしても！」<br />
　タブレットの画面に目をやって岬はスクロールしてみせた。チームのスタッツ画面が表示される。<br />
「今の代表でも彼の役割は軽視できない。センターバックの次籐を中心に固めた高杉と三杉くんのラインを底に、ビルドアップを狙う左右のサイドバックは松山と早田が自在に上下動を繰り返してスペースを作り上げるのはもちろん、彼ら自身もミドルからでもゴールを狙えるロングボールがある。ディフェンスラインは相手の攻撃をつぶすより前に、計算した動きで相手の攻撃をいち早く囲んでしまう意地悪い罠がしかけられてるしね」<br />
　ことディフェンスに関しては、あえて伏せた主語に岬の個人的見解があるようだ。<br />
「そこに石崎くんの存在が生きる。その綿密な計算をあえて無視する動きをここに入れることで、計算どおりのビルドアップが計算できないものへと常に変わりうるんだ。一対一のデュエルに強いわけでも足元が器用なわけでもないことが逆に強みになる。型通りの守備をする一方で、どこで出るか予測不能な動きが交じる。『敵を欺くにはまず味方から。味方を欺いてこそ敵も』的な自由さになってジョーカーの役を担うことになる」<br />
　何を言ってるんだ。<br />
「つまりは――あいつが型破りにプレーすることこそが鍵だと」<br />
「またはノープランで」<br />
　井沢の頭痛がじわじわと。<br />
「それって」<br />
　来生が気の毒そうにそんな井沢の肩に手を置いた。<br />
「うちの代表やＪのチームではなんとか生かせても、海外のクラブだと無理じゃね？」<br />
「そこなんだよね」<br />
　ため息が出る。<br />
「翼くんが何を考えてうちの切り札をあえて海外におおっぴらにしようとするのか&hellip;」<br />
「確かに」<br />
　ポンコツということにしておけば最終兵器にさえなる存在。<br />
<br />
<br />
<br />
「え、だっておもしろいだろ」<br />
　あとで折り返しの国際電話をした岬に告げられたのは、衝撃の言葉だった。<br />
　――それだけ？<br />
　なお、移籍の話は内外で波紋を呼んだが、身重の奥さんが子供は双子だったことを知らせたことであっさりと消し飛んだのだった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
end]]>
    </description>
    <category>お礼ＳＳ</category>
    <link>https://waniscrew.kyotolog.net/%E3%81%8A%E7%A4%BC%EF%BC%B3%EF%BC%B3/%E3%83%8A%E3%82%B5%E3%82%B1%E3%83%A2%E3%83%8E</link>
    <pubDate>Wed, 26 Jul 2023 06:55:37 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">waniscrew.kyotolog.net://entry/121</guid>
  </item>
    <item>
    <title>ルナルナ</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
　目を開くと何かベッドに違和感があって日向は一気に覚醒した。<br />
　ベッドではなく上掛けの中？<br />
「おい！」　<br />
　声が上擦る。<br />
　覗き込んだその中には、あろうことかいるはずのない人間が幸せそうに眠っていたのだから。<br />
「こら、放さねえか！　足がしびれちまう！」<br />
　ベッドのかなり足元のほうで、翼はもぞもぞとさらに丸まった。日向の右足を両腕に抱え込んだまま。<br />
「放せ！　おまえは猫か！」<br />
　振り払おうと足先を闇雲に動かすと、さすがの翼もようやく目を覚ましたらしかった。<br />
　ぼんやりとしながら伸びをする。<br />
「んー？」<br />
　そうしてぱちっと開いた目が合う。しっかりと。<br />
「あれぇ、日向くんだ。どうして俺のベッドにいるの？」<br />
　と言いかけてはっとする。上掛けを跳ね上げて胸元に目をやり、じたばたとベッドの上に身を起こそうとした。<br />
「暴れるな。何もしてねえから。それにここは俺の部屋だぞ」<br />
「え？　&hellip;え、え？」<br />
　着衣の乱れは当然ない。翼は顔を上げた。混乱したままだ。<br />
「俺、なかなか寝付けなくて。&hellip;明るくなってきたから寝るの諦めてちょっとそこらを走ろうかなって&hellip;」<br />
「何やってんだ。夜中に。ああ、時差ボケか」<br />
　同じヨーロッパから来た身なのは日向も同じなのだが、翼はチームの遠征帰りで南米を経由したせいで短期間に地球を半周以上したことになる。<br />
「だとしてもだな」<br />
「ゴメン、俺やっと眠くなったから二度寝しとこうって部屋に戻った&hellip;つもりだったんだ」<br />
　なんかベッドがすごくあったかくって&hellip;と口の中でもごもご言いながら翼は枕元まで膝でにじり寄った。<br />
「こら」<br />
　そのまま伸び上がって首筋にしがみついた翼を、日向はうるさそうに押しのけようとした。<br />
　&hellip;ようとしたが翼は腕を巻きつけて離さない。<br />
「何もしてないって、そうなの？」<br />
「今日はな」<br />
　サイドベッド埋め込みの時計に目をやり、日向は息を吐いた。<br />
「ほらもう時間だぞ。悪いことはしてる余裕はねえ。行くぞ」<br />
　着替えて朝シャワー。階下の朝食に間に合わせるために。<br />
「おまえの服はおまえの部屋なんだろ。急げって」<br />
「これくらいは、大丈夫」<br />
　温もりを堪能してからようやく翼は自室のシャワーに駆け込んだ。<br />
<br />
<br />
<br />
「見たか？」<br />
「あ、ああ。翼、日向の部屋から出てきたよな？」<br />
　当然のごとく、目撃者はあった。<br />
「下着、脱げかけ&hellip;だったような&hellip;」<br />
「ひゅ&hellip;日向の首筋に&hellip;キスマークみたいなのなかったか？」<br />
　ひそひそと噂は回る。<br />
「見間違いじゃないのかなあ――たぶん」<br />
　といった穏便な意見はスルーされた。<br />
「前科は山のようにあるしな」<br />
「うんうん、放っておいたら限界ないから、２人とも」<br />
「遠慮なんて言葉は最初からないし。岬ならともかく」<br />
「なんだって！」<br />
　いつの間にいたのか、当人がどきっぱりと否定したのでチームメイトはびくびくした。<br />
「今日の練習が流血沙汰にならないといいが」<br />
「楽しみだねえ」<br />
　何やら過激な会話も。<br />
　朝早くから意欲満々なユース代表チーム一同であった。<br />
　今回はほぼ未遂だっただけで、無自覚に好き放題しているのはいつも通りの敵なしカップルなだけに。<br />
<br />
<br />
<br />
end]]>
    </description>
    <category>お礼ＳＳ</category>
    <link>https://waniscrew.kyotolog.net/%E3%81%8A%E7%A4%BC%EF%BC%B3%EF%BC%B3/%E3%83%AB%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%8A</link>
    <pubDate>Fri, 21 Apr 2023 01:08:59 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">waniscrew.kyotolog.net://entry/117</guid>
  </item>
    <item>
    <title>甘ったれクリーチャー</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
　代表のホーム戦。事前合宿は静岡だった。南葛からも程近い総合スポーツ施設で敷地もかなり広い。俺は昨日日本に着いたばかりで、羽田からその足で早速やってきていた。<br />
　顔合わせも兼ねた練習の開始は今日からで、とはいえいつもの顔ぶれにあまり変化はない。昼メシを食って空いたグラウンドの脇で転がっていると、眠気がやってきた。昨日の今日で時差ボケが十分に解消されていないこともあって。<br />
　ハンブルクではどんどん日が短くなっている季節だ。冷え込みも特に朝晩は厳しい。それに比べれば静岡は別世界だ。晴天の日も多いし、何より暖かい。<br />
　そういうわけで午後の練習の直前とはいえ、俺は目を閉じて手足を伸ばしながら生まれ故郷の日差しを存分に楽しんでいた。<br />
「あれれ～？」<br />
　とそこへ馴染みの声が向こうから近づいてきた。<br />
「あんなとこに若林さんがいるぞー」<br />
「ほんとだ。昼寝してら」<br />
「さすがの余裕だなあ」<br />
　旧修哲組か。相変わらずのつるみ具合だ。なんだか目を開けづらい。<br />
「起こすか？　練習開始までも少しあるけど」<br />
「くく&hellip;、起こすならキスだよね。お姫様を目覚めさせるのって」<br />
　笑っているのは来生だな。あとでぶんなぐってやる。<br />
　しかし笑い声は重なった。<br />
「それだそれ。誰かお姫様にキスしろよ。おまえ行く？」<br />
「おまえやれよ、そらそら」<br />
　高杉まで加わっている。こいつらおもちゃにしやがって！<br />
「おーい、何してんだよぉ！」<br />
　ひときわ甲高い声がやってきた。怒鳴ろうと息を吸ったところだったからむせそうになる。現南葛高ではチームメイトになる石崎だ。<br />
「今、若林さんを起こすとこ。キスでね」<br />
「ナンダッテェ？」<br />
　すっとんきょうな声に俺は起こしかけた体から力が抜ける。<br />
「なぁにやってんだよ。しょうがねえなあ、オレに任せろ」<br />
　待て待て待てー。何が嬉しくて石崎なんかにキスされなきゃならないんだー。<br />
　叫びかけたところへ気配が近づいたと思ったら、起こそうとした体をいきなり思いっきり押し倒された。生温かい息が俺にかぶさって&hellip;。<br />
「うわー！　や、やめろー」<br />
　すごい勢いで舐め回された。顔はもちろん襟元もびしょびしょになる。<br />
「ジョン？」<br />
　まだ俺に手を掛けて飛びつくのをやめずに、口元目掛けて突撃してきたのは愛犬のジョンだった。その肩越しにやっとのことで見えるのはもちろんゲラゲラ笑っている石崎だ。<br />
「いやあ、感動の再会だな、若林。かーちゃんに車で連れて来てもらったんだぜ。おまえ実家に帰らないって言ってたから」<br />
　もうすっかり老犬になって口周りにも白い毛が増えたジョンだが、その力はまだまだ強い。へたり込んだままの俺をいいように翻弄している。<br />
「ジョン落ち着け」<br />
　確かに親や兄弟には会わないままでいいとは思ったがおまえは別だ、ジョン。<br />
　その頭に手を置いて、まだ周りを囲んでへらへらしていた修哲組を、俺は恨みを込めて睨みつけたのだった。<br />
<br />
<br />
<br />
end]]>
    </description>
    <category>お礼ＳＳ</category>
    <link>https://waniscrew.kyotolog.net/%E3%81%8A%E7%A4%BC%EF%BC%B3%EF%BC%B3/%E7%94%98%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%8C%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC</link>
    <pubDate>Thu, 30 Mar 2023 13:51:17 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">waniscrew.kyotolog.net://entry/93</guid>
  </item>

    </channel>
</rss>